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松戸・天真寺でナマケモノオリエンテーション-「怠けよう」を提案

「ナマケモノ倶楽部」の名称は、「ナマケモノ」の「省エネ」「循環」「平和」の3つの特徴に注目して付けられた

「ナマケモノ倶楽部」の名称は、「ナマケモノ」の「省エネ」「循環」「平和」の3つの特徴に注目して付けられた

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 天真寺(松戸市金ケ作)で9月21日、「環境」「文化」「経済」の3つのつながりに注目して活動するNGO団体「ナマケモノ倶楽部」が目的や活動内容についてのオリエンテーションを行った。

「ナマケモノ倶楽部」の目的や活動を説明する事務局の宇野真介さん

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 シンボルの「ナマケモノ」はゆっくり生きる樹上動物で、視点を変えると究極の省エネ生物。時々木を降りて週に1度、木の根本で排せつする。排せつ物は分解されて木の養分になり、結果的に木を育てることになり、循環システムが成立する。また、縄張り意識があまりないため争うことなく共存・共生・共栄する平和的な生き方をしている。こうしたナマケモノの生き方を「省エネの達人」「循環型ライフスタイルの達人」「平和的生き方の達人」として注目し命名したという。

 発起人は、文化人類学者の辻信一さん、シンガー・ソングライター・環境活動家のアンニャ・ライトさん、有機コーヒービジネスを展開するウィンドファーム代表の中村隆市さん。3人を結び付けたのは南米エクアドル。エクアドルは小さい国だが、自然、文化ともに豊かな国。90年代からの森林の開発は、水質汚染や森林の伐採による環境破壊を招いた。そこに暮らす人々は開発反対の声を上げたが、ただ反対するだけではなく、自分たちがしたい暮らし方や発展のビジョンを明確にして訴えたという。

 そこには、植物繊維のカブヤ(サイザル麻)を使った手作りの民芸品や雑貨を作って売ったり、森林に適したコーヒーや果樹などの経済作物を作り経済的発展を試みたりするなど代替案を示して実行しているコミュニティーが存在する。そうした自然と共存・共生して生きていこうという姿に共感したことが同団体設立のきっかけになった。

 3人の専門分野から「環境」「文化」「経済」の3つを柱に活動の基本に据える同団体。活動内容として、まず、「怠けよう」を提案する。誰でもできる小さなことを積み上げていくことが特徴の一つ。「自販機でペットボトルを買うのを怠ける」「使い捨ての割りばしを怠ける」「1日買い物を怠ける」など。

 そのほか、エクアドルの民話から採った名前で、CO2 100グラム=1ポトリとしてポトリを増やす運動「ハチドリのひとしずく」や、同時に使う家電などを把握、頭と手を使って工夫することにより、契約アンペア数と電気代を削減する運動「アンペアダウン」も。大きなムーブメントとして、「100万人のキャンドルナイト」がある。年2回、自主停電をして省エネや平和について考える時間を持つ運動だ。スローな映画をツールに、人と人、人と自然、今の世代と未来の世代のつながり直しの場づくりを提案する自主上映ムーブメント「スローカフェシネマ」もある。

 同団体で発行する「地域通貨ナマケ」は通貨を問い直す意味を込めて始められた。1ナマケ=1円とし、同団体のイベントや取扱店で使うことができる。事務局の宇野真介さんは「従来の通貨の持つ3つの機能は『価値の尺度』『交換の媒体』『価値の保存』だが、人との関係性を価値として反映させるための通貨として生まれた。ナマケの購入代金がエクアドルの環境保全運動に役立てられる」と話す。

 参加者は20人ほどで、「有機栽培コーヒー」や「フェアトレード」など同団体とのビジネス連携に関心が集まっていた。

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