松戸市立博物館(松戸市千駄堀)の企画展示室で現在、「古文書からさぐる大谷口(おおやぐち)の村」が開かれている。
同館が年に2回行っている館蔵資料展。今回は、現在の松戸市北部に位置した大谷口村で名主(なぬし)を務めた大熊家に伝わる文書・絵図の中から、大熊家の名主としての仕事ぶりや、農業に根差した村人たちの信仰を伝える約50点を展示する。
江戸時代の大谷口村は、幕府の直属家臣である旗本の土屋家が、領主として16世紀末から幕末まで治めていた。領主と村人との間に立って村の運営を担ったのが、名主・組頭・百姓代の村役人で、大熊家は江戸時代後期から大谷口村の名主を務めた。
展示は5つの章に分かれ、「第1章 江戸時代の大谷口村」では当時の大谷口村周辺を描いた絵図や、飛脚に飛脚賃を支払った旨の覚書などを展示。「第2章 名主はつらいよ」では、年貢(ねんぐ)の取りまとめや村の人口調査、村から領主への請願などに関する文書を用い、村役人の多岐にわたる仕事ぶりを紹介する。
「第3章 大熊伊兵衛と旗本土屋家」では、土屋家の家臣となった10代目大熊伊兵衛が、将軍家茂の長州征討に同行した際に家族に送った手紙などを、「第4章 旅のたのしみ」では大熊伊兵衛やその家族が参詣旅行の際に買い求めた、名所旧跡の紹介が記された絵図など、「第5章 村人たちの祈り」では大谷口村の年中行事を書き留めた資料などを展示する。
同館学芸員の富澤達三さんは「大熊家に保存されていた古文書のおかげで、江戸時代後期の村役人や村の人々の生活について数多くのことが分かった。松戸市に残る古文書は、松戸市域の歴史を語る貴重な文化財なので、もし家に古い書類や資料が保管されていたら、処分する前に当館に相談してほしい」と呼びかける。
開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。観覧無料。月曜(祝日の場合は翌日)、8月23日休館。8月25日まで。8月3日、4日、18日、25日の14時30分から、学芸員による展示解説会を行う(申し込み不要)。