8月18日に「デイサービスあじさい」(松戸市金ケ作)でALS患者舩後靖彦さんの講演会「命ある限り道は拓(ひら)かれる」が開催された。
舩後さんは、1999年に42歳でALS(筋萎縮性側索硬化症)が発症した。ALSは重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患で、極めて進行が速く、半数ほどが発症後3~5年で呼吸筋まひにより死亡する有効な治療法が確立していない病気。同講演は、舩後さんがパソコンで作成した原稿を、音声ソフトを使って読み上げる手法で行われた。
舩後さんは、人工呼吸器を付けて延命するかどうかの選択で延命しないと決めたが、当時の主治医に導かれ、ピアサポート(同病者の支援)をするために生きる選択をしたという。「主治医が生きがいをもたらしてくれたというのが偽らざる延命の理由ではあるが、その『生きがい』が心の奥底に沈めていた昔の夢を引き上げてくれたのだと気づくに至った。つまり、『ピアサポート』が起爆剤になり、新たな生きる目的を浮上させた」と話す。
現在、舩後さんは「人間どんな姿になろうとも、楽しみあるいは生きがいを見い出して、人生を楽しむことができる」ということを伝えるために、わずかに動く奥歯でセンサーをかみ、パソコンを操作して、童話、短歌、執筆、作詞を行うとともに、難病患者や障がい者、その家族に勇気や希望を持ってもらうための「ピアサポート」活動をしている。
講演会では、舩後さんが参加する音楽ユニット「さとおや」で、舩後さんが作詞した曲を「歌う松戸観光大使」のシンガーソングライター吉崎さとしさんが披露した。
今後も、8月28日に「デイサービス 和楽」(鎌ヶ谷市中沢)、9月19日に「デイサービス あじさい」で講演会を予定している。