海外や国内の芸術家を松戸に招き、地域との交流の中で作品を制作してもらう「PRADISE AIR」(松戸市本町)の長期滞在プログラムで11月2日から、ポルトガル出身のヴァスコ・ムラオさんが滞在している。
同プログラムを運営する「松戸まちづくり会議」は、松戸駅周辺から江戸時代の宿場町「松戸宿」にまたがるエリアの地域活性を目的とする地元組織。松戸駅周辺の自治会、町内会から代表者が参画し、アートとまちづくりの実験的プロジェクト「暮らしの芸術都市」の運営母体として、まちづくりとアートを横断する事業活動に取り組んでいる。
「PARADISE AIR」は「松戸まちづくり会議」、松戸市、若手アートディレクターなどが協力しながら運営するアトリエ、オフィス、滞在施設として利用できる地域密着型施設。
1979年生まれのムラオさんはポルトガル出身で、ドローイングを専門とする芸術家。黒のペンと紙のみで、都市や河川、道路を描く。美術とイラストレーションの領域の間に身を置きながら「ワシントン・ポスト」「ニューヨーカー」「ワイヤード」などの新聞や雑誌で仕事をする傍ら、個人の顧客向けの美術作品の制作にも取り組んでいる。
作品制作は公開しており、毎日10時~15時に市民文化ホール姉妹都市コーナー(松戸市松戸)で見学できる。作品の完成披露は来年1月末ごろを予定。アーティストとの交流イベントも計画している。
同施設のディレクター庄子渉(しょうじわたる)さんは「ムラオさんは建築家から芸術家に転身したため、街の建物などの構造物が作品のモチーフとなっている。松戸の住民へのインタビューを通して住民が大切にしている場所を作品にしていく。それらの作品を巨大な絵画に集約して壁画として残す計画。完成披露を楽しみにしてほしい」とアピールする。